「土用」と聞いて、夏の「土用の丑の日」や「鰻」を思い浮かべる方は多いかもしれません。しかし、土用は四季すべてに存在し、古くから日本人の暮らしと深く関わってきました。
土用期間に「土を触ってはいけない」「引っ越しは注意」など、暮らしにまつわる知恵が今も残っています。
今回は、今年2025年の土用はいつから始まるのか、土用の意味や由来、期間中にやってはいけないとされていること、そしておすすめの過ごし方まで解説します。
2025年土用はいつから始まる?
土用の読み方
「どよう」と読みます。土用の丑は「どようのうし」と読みます。
2025年「土用」の日付と時間
2025年の土用の入りは7月19日(土)19:05です。
(参考:国立天文台 暦要項)
2025年「土用の丑の日」はいつ?
- 初 丑:2025年7月24日(木)
- 二の丑:2025年8月5日(火)
「土用の丑」がなぜ2日間あるのかは、記事中盤で説明しています。よろしかったらお読みください。
土用とは?意味と由来
土用の語源と五行思想との関係
「土用(どよう)」という言葉は、中国古代の自然哲学「五行思想」に由来します。五行では、万物を「木・火・土・金・水」の5つの要素で捉え、それぞれが季節と関連づけられています。
- 春:木
- 夏:火
- 秋:金
- 冬:水
- 各季節の終わり:約18日間=土(=土用)
土用は「季節の変わり目」で、自然のエネルギーが不安定になる時期とされてきました。
なぜ季節の変わり目に設定されているのか
五行思想では、土の気は他の要素を中和し安定させる役割を持つと考えられています。季節の移り変わりによって自然界に乱れが生じる中、この「土」の力が調整役を担うとされました。
そのため、土用期間は「身体・心・環境を整えるための調整期間」として、昔から重要視されてきました。
土用の種類(春・夏・秋・冬)

土用は年に4回あります。
土用の種類 | 期間(目安) |
---|---|
冬土用 | 1月中旬〜節分頃 |
春土用 | 4月中旬〜立夏前 |
夏土用 | 7月中旬〜立秋前 |
秋土用 | 10月中旬〜立冬前 |
2025年の土用期間
季節ごとの土用期間と間日(まび)
土用の種類 | 土用期間 | 間日(まび) |
---|---|---|
冬土用 | 1月17日~2月2日 | 1月21日、22日、24日、2月2日 |
春土用 | 4月17日~5月4日 | 4月18日、19日、22日、30日、5月1日、4日 |
夏土用 | 7月19日~8月6日 | 7月21日、22日、26日、8月2日、3日 |
秋土用 | 10月20日~11月6日 | 10月21日、29日、31日、11月2日 |
(参考:国立天文台の暦要項)
間日:年ごとに日付が変わります。毎年の暦やカレンダーで確認してください。
土用の伝統的な風習「やってはいけないこと」
土を触る・動かす

土用の期間中は「土の神様」(土公神:どくじん/どくしん/どこうしん)が地中に宿るとされ、土いじり、草むしり、ガーデニング、穴掘り、基礎工事、井戸掘り、リフォームなどは避けるべきとされてきました。
どうしても土を触らなければならない場合
現代的な妥協案として手袋をして作業する方法があります。風習上は、手袋をしても土用期間の土いじりは避けるのが本来の考え方といわれています。可能であれば間日(土用の障りがないとされる特別な日)の利用を検討されてはいかがでしょうか。
土用期間のリフォーム
壁紙の張替えや家の中の設備交換などは、土用の禁忌にあらたないとされています。
庭の掃き掃除で土が動いてもいいのか
綺麗に整える掃き掃除は問題ないそうです。
大きな移動
引越、旅行、転勤など大きな移動は避けた方がよいとされていますが、すでにチケット・宿等を手配済みという場合や、引越し・転勤の日取りを自分だけの判断で動かせないということもあります。
このような時は、タイムスケジュールに無理がないか計画を確認したり、体調の変化に注意を払えば行ってもかまわないとすることもあるようです。
新しいことを始める
新規事業の開始、重要な契約の締結など、新しく始めることはおすすめされていません。そこで、改めて計画を確認したり、強引なところがないか振り返ると良いそうです。今後の為にも良い時間の使い方ではないでしょうか。
また、整理をすることは土用期間に適しているといわれます。不要品の処分、書類やデジタルデータなど、整理整頓すると次の季節を気持ちの良く迎えられそうです。
なぜNGなの?理由と伝統的な考え方
これは風水や陰陽道の影響を受けたもので、土の気を乱すことで災いを招くと考えられています。科学的な根拠はありませんが、日本ではこの考えが根強く、今も建築や不動産業界では土用期間を意識することがあります。
次にご紹介する「間日(まび)」を上手に活用されてはいかがでしょうか。
例外的にOKな「間日(まび)」とは?
「間日(まび)」と呼ばれる特別に設けられた日は、土の神様(土公神)が天上界にいらっしゃり、地上をお留守にしているため、土を触っても問題ないと伝えられています。
土用の丑の日とは?
丑の日の決め方
「丑の日」とは、干支の「丑(うし)」に当たる日。土用の期間中にやってくる丑の日のことを「土用の丑の日」と呼びます。干支は12日ごとに一巡するため、土用中に2回ある年もあります(初丑・二の丑)。
- 初丑:2025年7月24日(木)
- 二の丑:2025年8月5日(火)
うなぎと平賀源内
「土用の丑の日にうなぎを食べる」習慣は、江戸時代の学者・平賀源内が夏に売れないうなぎ屋の相談に乗り、「丑の日=『う』のつく食べ物がよい」と宣伝したのが始まりという説が有名です。
うなぎは栄養価が高く、夏バテ防止にも良いとされ理にかなっていたため、今では全国的な風習として定着しました。
おすすめの過ごし方
穏やかに過ごすことを大切に

土用は季節の変わり目で、体調を崩しやすい時期でもあります。寝不足に注意したり、疲れを溜めないようにするなど、とにかく無理をせずリラックスして過ごしましょう。
- マッサージ、ヨガ、軽い体操や散歩などで身体を整える。
- バスソルトやエプソムソルト、アロマオイルを使ったぬるめの入浴。
- 家の中の整理整頓・掃除。
- 心の整理・感情のデトックス。日記を書いたり、瞑想したりして気持ちの整理をする。
- 無理のない範囲で公園を散歩したり、身近な自然に触れる。(熱中症に注意してください)
- 虫干しや梅干し作りなど、季節の風物詩を楽しむ。
土用によく食べられる物

土用時期の代表的な「う」の付く食べ物は次の通りです。夏の暑さや疲労に対抗するための伝統的な食習慣(養生食)です。「丑の日」(うしのひ)の「う」にちなんで無病息災で過ごせるといわれています。
- 鰻(うなぎ)
五行説で夏の「火」の気に対抗する「水」に属し、栄養豊富で夏バテ防止に最適な食材です。 - うどん
消化が良く、食欲がない時でもツルッと食べやすい夏向きの食べ物です。 - 瓜(うり)
キュウリ、ニガウリ(ゴーヤ)、スイカなどウリ科の野菜や果物で、カリウムが豊富。体の水分調整や塩分排出を助けるといわれています。 - 梅干し(うめぼし)
食欲増進や解毒効果があるとされ、夏バテ防止に役立ちます。土用の時期に天日干しする「土用干し」も有名です。 - 牛肉(ぎゅうにく、うしにく)
丑の日にちなんで食べられ、体力回復に良いとされています。
その他の「う」の付く食べ物
- 馬肉(うまにく)
牛肉同様、栄養豊富で夏の精をつける食材として挙げられます。 - うずら卵
栄養価が高く、夏の暑さに負けない体づくり役立つと考えられるため。 - ウニのパスタ
うなぎに負けない夏のスタミナ食として。 - ウコン(鬱金)
カレーのスパイスなどで知られるウコンです。夏の疲れや胃腸の不調を予防する目的で食べられるようになったそうです。
「う」の付かない土用の食ベ物

- 土用餅
お餅は「力餅」として体力をつける意味、小豆の赤色は魔除けの意味があり、暑さに負けず無病息災で過ごせるようにという願いが込められています。 - しじみ汁
「土用しじみは腹薬」と言われ、健康維持のために食されてきました。旬で栄養価が高く、夏バテ予防にも役立つそうです。
まとめ
2025年の土用の入りは7月19日(土)19:05
初 丑:2025年7月24日(木)
二の丑:2025年8月 5日(火)
土用を正しく知って、季節の変わり目を穏やかに
調べてみますと、土用は決して恐れるべき期間ではありませんでした。自然のリズムに合わせて生活することで、心身ともに健康な毎日を送るための先人の智恵だと分かりました。
大人になるまで、土用を単なる「鰻を食べる日」だと思っていた私は、土用の意味を知り、養生しながら過ごすことの大切さを学びました。みなさまもどうぞ健やかにお過ごしください。